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原油先物がマイナスになったカラクリ

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歴史的な相場が記録されました。

昨日、WTI原油先物の価格が
1バレル=-37.63ドルを記録。

はい。

マイナス37.63ドル。

原油価格がマイナスです。

ニュースはさらっとしたもんでしたが、
とんでもない相場が記録されたもんです。

相場マイナスですからね。

手元にクッキーがあるとして、

売り手:「これを100円で売ってあげる」
買い手:「おう、買うたるわ。」

→これが通常の商い。

しかし、相場価格がマイナスって事は

売り手:
「100円やるしこのクッキー引き取って」
買い手:
「おう、100円とクッキーよこせ。」

ってこと。

[売り手がお金払って原油を引取ってもらう]

・・・という構図です。

意味分からん(笑)

ま、実際に話は単純じゃないですし、
ガソリンスタンドで売ってるガソリンが
マイナス価格になる事もありません。

日本のガソリンには、
1リットルあたり53.8円のガソリン税と
1リットルあたり2.8円の石油税と
消費税がかかってきますから。

日本のガソリン、まじ高い。

話を戻しますが、
今回、マイナスになったのは
「WTI原油先物」という相場でした。

どうしてマイナスになってしまったのか?
私なりに解説させていただきますねー。

WTI原油先物を取引した事ないですし、
私なりの解説なのでその点はご了承を。

WIT相場がマイナスになった背景

「マイナスになった」と騒がれていますが
実際に原油そのものの価値が
マイナスになった訳じゃないです。

世界3大原油指標には

・WTI原油先物
・北海ブレント原油先物
・ドバイ原油スポット価格

の3種類がありますが、、、

マイナスになったのはWTI原油先物のみ。

他の原油相場は、
下落基調はありますがプラス圏にいますし。

なお、原油と言えば、
中東をイメージされるかもしれませんが、
今回の騒動は中東と無関係です。

今回の話の中心はアメリカ。

実はアメリカは原油の原産国です。

と言いますか、
アメリカは世界第一位の原油原産国です。

サウジアラビアより上。

今回の相場「WTI原油」とは、
西テキサス地方で算出される原油であり、
リーマンショックに続き今回のWTIでも
歴史的な大相場が米国発で発生しました。

んでは解説。

今回、WTI原油先物が暴落しましたが、
正確には「WTI原油先物・5月物」。

WTI原油先物は「現物決済」ですので
それを「売った人」は「買った人」に
約束した原油を届ける義務が発生します。

義務なので、拒否できません。

「売り手」は「買い手」に対し、
原油の現物を実際に届けるのです。

それが「WTI原油先物」という相場です。

なお、先物取引においては、
お金を払った瞬間に現物は来ません。

月に一回訪れる期日の時点で、
「WTI原油先物」を保有していた人の所に
現物が届けられるイメージ。

んで、話を戻すんですが、
そのWTI先物がマイナスになりました。

冒頭にお話ししましたが、
WTI原油先物=-37.63ドルを記録。

「え、4,000円もらえる上に、
5月になったら更に原油までくれるの?」

って話に見えますが、
話はそう簡単ではありません。

今回、問題になったのは、
「その原油をどこに保管するか?」

昨今のコロナ自粛の影響で
経済活動が著しく滞っていて
原油需要が極端に低下しています。

新型コロナの影響で移動規制がなされ、
輸送用エネルギーの需要が大きく落ち込み、
車の移動もなけりゃ飛行機も飛ばない。

原油のニーズが世界的に無し。

ですので、原油の貯蔵施設には
在庫が急速に積みあがってきています。

あと数週間で満杯になると予測されてます。

原油の現物を実際にやりとりするためには
売り手と買い手が合意さえすれば、
物理的な移動を伴わずに所有権の移転が出来ますが、
そもそも保管場所が無い状態。

原油貯蔵施設が来月に満杯になるので
5月になって原油現物を受取った時、
その保管場所に難儀することが決定的。

「保管する場所」を探す必要がでてきます。

現実的には洋上でのタンカー保管ですが、
それには膨大なコストがかかります。

また、WTI原油の受け渡しは
アメリカ内陸のオクラホマと決まってるので
そっから洋上に運ぶコストも必要です。

・あと数週間で原油保管施設が一杯に。
・タンカー保管には莫大なコスト。
・ってか、そこまで原油運ぶのもコスト。
・コロナショックで原油のニーズ無し。

新型コロナ不安の先行きが不透明で
いつまで原油を保管しなきゃいかんのか
まったくもって見当がつきません。

原油の洋上保管期間が長くなれば、
その分どんどんコストが積み重なりますし。

こんな状況なので誰も原油いらない。

→ですんで暴落したって話です。

「5月物・WTI原油先物」は、
4月21日(火)が限月でした。

4月21日が終了した時点で、
「WTI原油先物」を持っている人の所に、
5月になったら原油現物が来てしまいます。

受け取り拒否は出来ません。

「権利」じゃなくて「義務」です。

絶対です。

買い手にも売り手にも
原油現物を授受する「義務」が生じます。

WTI原油先物を持ってた人(団体)は、
昨日、以下のような流れになったのかと。

「俺が持ってるWTI原油先物、
明日が限月やのー。」

「ってか、貯蔵施設満杯みたいだし、
実際に来月に原油現物を受け取ったら
タンカーで保管するしかなくね?」

「このご時世だし、
原油の需要も無いし売れないよなー」

「タンカーも取り合いで、
保管料も暴騰してるみたいやな・・・」

「こりゃ、WTI原油先物は、
限月来る前に手放した方が良いなー」

「20ドルで買ってくれる人いるー?」

(原油需要落ちてるのを市場は知ってるので
WTI先物の買い手は誰も現れない)

「えーい!10ドルならどうやー?」

(保管する場所ないやろ。アホ。)

「まじ?5ドルで誰か買うてや」

(タンカー保管に20ドルはかかるで。)

「えーい!タダじゃ!0ドルじゃ!
持ってけドロボー!!!」

(タダでもいらんわ。)

「うそ・・・。今日が限月やから
今日中にWTI先物手放したいんやけど…
5ドルあげるから誰か受取って」

(・・・)

「このままWTI先物を持ち続けたら、
5月に原油現物が来て莫大な保管料が…。
20ドルあげるから受取ってー。」

(・・・)

「あと数時間や・・・。
30ドルあげるから、誰か・・・」

・・・って感じ。

4月21日の相場が終了した時点で、
「WTI原油先物」を保有していた人の所に、
5月になったら実際に現物がやってきます。

保管コストかかるのが目に見えてるから、
「権利の押し付け合いヨロシク」で、
WTI原油先物の売りが殺到し、

「お金あげるから、お願いやから受取って」
レベルまで暴落してしまいました。

OPEC+で減産合意されてましたが、
実際の原油減産スタートは5月1日。

あと数週間で満杯になるのに、
それでも原油を作り続けていて、
貯蔵施設に原油がどんどん貯まります。

また、3月にOPEC+が仲違いして
ロシアとサウジアラビアが増産し、
そこら中の原油タンカーが満杯状態なのも
今回の事態に拍車をかけました。

今回、WTIがマイナスになりましたが、
原油そのものがマイナスな訳じゃないです。

原油のニーズが落ちている中で、
貯蔵施設がパンク状態になっており、
「5月に原油に受け取る義務」の
売りつけ合い/押し付け合いによる暴落。

これが、
今回の「マイナス相場」の背景です。

5月物・WTI原油先物は、
4月21日に取引が終了しましたし、
現時点ではWTIは落ち着いています。

次のWTI原油先物は「6月物」。

来月もこの調子で、
生産と在庫問題が解決していなければ
翌月も同じ事が起こるかもしれませんね(汗

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